国民に知られたくない内部被ばくの真実/細胞損傷リスクを試算

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/3/10 16:11 | 最終変更
go  管理人   投稿数: 125
フクシマの放射能汚染問題は、収束どころか、まだ始まったばかりであり、
これからますます健康問題や社会問題などが顕在化するものと思われる。

既にチェルノブイリ原発事故後の28年間の健康損害等について、数多くの調査報告が公開されている。
原子力推進派(IAEA・ICRP・日本政府)は放射能汚染との因果関係は「科学的に証明されていない」、
として無視する姿勢なのに対し、ECRRや市民・識者たちは科学的な根拠をあげて反発・反論の勢いが増してきた。

この対立する論点と今後の経緯は、フクシマの真実を知るうえで見逃せないものだけでなく、
放射能汚染が、宮城県・岩手県南部、北関東一円そして首都圏に広がっていることよる低線量被ばくや、
僅かな量でも放射能が含まれる農産物・畜産物・海産物を摂ることによる内部蓄積による内部被ばくへの懸念、
更には震災瓦礫や放射能汚染物の焼却処理の広域化等の問題もあり、
少しでも健康に不安を感じる国民にとって、気になることばかりである。
そこで私は、放射能汚染の何が問題なのかを調査し、以下にまとめてみた。

1.フクシマとチェリノブイリの汚染マップと汚染基準について

 ① 汚染規模の色分けと縮尺とが同じ地図があったのでリンクする。

 (凡例の色分け汚染区分が不鮮明だったので簡略して書き起こした)
 

 ② 復興庁が公表している避難指示区域マップ


 ③ 汚染基準について、チェリノブイリとフクシマ(日本政府)を対比させてみた。
 
 ・この日本政府の決めた汚染基準を知って、愕然としたのは私だけなのだろうか・・・。
   ・チェルノブイリ周辺国の放射能汚染による健康被害に関する数多くの報告があるにも関わらず、
   ・日本政府の放射能汚染による健康問題ががフクイチ周辺だけに限定されてしまったこと、
   ・日本政府が推し進めてきた原発の事故への責任問題・補償問題から逃れるための根拠となること、
    ・事故以前のQOL(生活の質)には決して戻れない住民の苦悩を無視しようとする人権軽視の姿勢
   ・などなど・・・

 ・この基準は、チェリノブイリ汚染被害国より遥かに緩いものであることは、
   ・日本政府の国民の人権を軽視の姿勢そのものを内外に示したことばかりか、
   ・原発事故の後処理問題と放射能汚染問題を解決する技術が無いことが明らかになったことなど、
  これでは日本はまるで三流国ではないか、との印象を抱いたのは私だけなのだろうか・・・。


2.日本政府に対する市民・識者の反発について

2.1 ICRP(国際放射線防護委員会)に反証するECRR(欧州放射線リスク委員会)について

 日本政府の放射能汚染によるリスクモデルは「ICRP勧告」を下敷き(見解を踏襲)にしているが、
 ICRPのリスクモデルは科学的に妥当性はない、としてECRRは反論している。
 そこで、考え方の全体構図を把握するためにICRPとECRRについて、以下概観する。

 (1) ICRP(国際放射線防護委員会)  (参考:国際放射線防護委員会

   ・専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織である
   ・助成金の拠出機関は、国際原子力機関や経済協力開発機構原子力機関などの原子力機関をはじめ、
    世界保健機構、ISRや国際放射線防護学会などなどの放射線防護に関する学会、
    イギリス、アメリカ、欧州共同体、スウェーデン、日本、アルゼンチン、カナダなどの各国内の機関
   ・IAEAなどの原子力推進側の人物がICRP委員会の正会員でありICRP勧告(2007年)にも参加している
   ・日本との関係について
     ・2007年の勧告では、1年間の被曝限度となる放射線量を平常時は1mSv未満、緊急時には20~100mSv、
      緊急事故後の復旧時は1〜20mSvと定めている
     ・この勧告に基づき、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故に際し、
      ICRPは日本政府に対して被曝放射線量の許容値を通常の20~100倍に引き上げることを提案した。
      ただし、事故後も住民が住み続ける場合は1〜20mSvを限度、長期的には1mSv未満を目指すべきだとしている
     ・これを受け内閣府の原子力安全委員会は、累積被曝量が20mSvを超えた地域において防護措置をとる
      という方針を政府に提言した。 

 (2) ECRR(欧州放射線リスク委員会)
   ・1997年に結成され、ベルギーに本部を置く市民団体
   ・欧州評議会及び欧州議会、国際連合、各国の政府等とは関係を持たない私的団体である
   ・湾岸戦争、イラク戦争における劣化ウラン弾や、チェルノブイリ原子力発電所事故、福島第一原子力発電所事故
    などに付随する放射性物質の健康問題に関連した活動を行っている。
   ・「ICRPのモデルは放射線リスクを過小評価している」と主張
   ・ECRRは、3つの調査結果を発表
     ・2003年のECRR勧告『放射線防護を目的とした低線量の電離放射線被曝のもたらす健康への影響
     ・『20年後のチェルノブイリ ―チェルノブイリ事故の齎す健康への影響
     ・2010年のECRR勧告『低線量の電離放射線被曝のもたらす健康への影響


2.2 ICRPの問題点を指摘するECRRの見解について

 調査は膨大かつ難解なこともあったが、参考になった主な情報源は次のとおり。
     ・「基準値」の正当性を問う~ICRPとECRRの基本的観点の相違/内部被曝問題研究会MLから
     ・<参考資料>ECRR勧告:欧州放射線リスク委員会
     ・矢ヶ崎克馬「長崎原爆体験者訴訟」追加意見書

 (1) ICRP側(および日本政府)の放射線リスクに対する主な問題点について
    ・1946年、突然「内部被ばくの研究委員会」を廃止し、外部被ばくだけのリスク見解の方針となった。
     以降、内部被ばくに関する検討と報告は一切出されなかった。
    ・健康リスク基準については、
      ・100mSv/年以上からのみ癌・白血病リスクがありえる、との見解が基本となる
      ・それ以下の線量では健康リスクは限定的であるとした (これを「安全宣言」という御用学者もいる)
      ・ICRP放射線リスクモデルは、全身均一な被ばく(γ線外部被ばく)のみである
    ・リスクモデルに使用した基本データは、長崎・広島原爆による被害者調査によるものだが、
     使われたデータは原爆投下から5年後以降の調査データであり、次の点において妥当性はない。
      ・ピカドンの直接被ばくの死者については(殺戮兵器使用だから)リスク別扱いでもしかたないが、
      ・その後5年間での死者数は膨大なのだが(3か月後には白血病で死んだという報告もある)、
       そのデータは全く含まれていないこと(*1)
       これは実際には日米共同で調査していたが、そのデータは全く採用されていない、
       つまり放射線被ばくによる内部被ばくによる健康損害の実態が隠蔽されていると考えられる。
      ・さらに、5年後から使われたデータは、実は生き延びた人たち(=強靭な身体の持ち主)なのである。
    ・この60年間にDNAの研究は目覚ましく、ゲノム解読やDNA損傷とその修復メカニズムや
     電離放射線によるDNA損傷による健康障害などの因果関係が解明されてきているにもかかわらず、
     放射線内部被ばく(α線β線:内部被ばく)による健康リスクについては無視または論議を避けている
    ・ICRPが容認(検閲)した研究報告だけで健康リスク見解の根拠としている
      ・2004年低線量内部被ばくに関する意見が報告されたが、報告書から削除
      ・2005年ICRPモデルが誤りであることの研究証拠を報告書から排除
    ・チェルノブイリ原発事故による多くの健康損壊が明らかになっているにも拘わらず、
     独自で調査・検証することもなく、一貫して放射線被ばくによるものではないと無視している
    ・各国の放射線防護機関の全てはICRPと深く繋がっており、ICRP基準を下敷きにしている
    ・活動資金はIAEA、核開発・原発関連業界が主であり、委員の大半は原子力推進関係者である
    ・放射線利用の哲学は、便益と費用を基準とする「功利主義」である
       ・便益とは、電力需要の増大・雇用の増大・自治体への交付金、漁業補償金など
       ・含まれていない費用には、廃炉・廃棄物処理・汚染除染処理・健康障害補償など
    ・政治優先・経済優先・人権軽視・・・である
    ・内部被ばく・低線量被ばくによる健康リスクの真実の隠ぺい等々・・・

   (*1参考)マンハッタン計画(原子爆弾の開発)と原爆投下
    ・第二次世界大戦中に原爆開発計画としてスタート
    ・トリニティ原爆実験(米国ニューメキシコ州アラモード砂漠、1945/7)
    ・長崎に原爆投下(1945/7/16)死者不明者7.8万人/投下年で9万人/5年間で14万人
    ・広島に原爆投下(1945/8/6)死者不明者12.2万人/投下年で14万人/5年間で20万人

 (2) ICRP指針を踏襲する日本政府の処置や見解に対する市民・識者の反発について
  日本政府の汚染基準や健康損害の不安に対する見解や政府の同調する御用学者などによる安全見解に対し、
  多くの市民や識者から反発の声が上がっており、以下イラストにまとめてみた。



3.原発汚染やチェルノブイリ原発事故汚染等における健康損害実態について

 IAEAとICRPおよび日本政府と御用学者たちは、世界の原発周辺の健康損害やチェルノブイリ放射能汚染と
 住民の健康障害とは(科学的に証明されるような)因果関係は無いという見解でいるが、本当なのか?
 そこで、改めてチェルノブイリ放射能汚染に関する健康損害の実態をまとめてみた。

 ① チェルノブイリ原発事故の健康障害実態について
チェルノブイリとウクライナの子供たちの健康(事故直後から25年の観察結果)
           報告:ウクライナ放射線医学研究センター

   
 ●報告例(1987-1991年)の一部を紹介する《詳しくは本分をご覧ください》
  ◇この時期は子供が不調を訴える回数が増加した
   極度の疲労:82.7%
   衰弱:71.7%
   精神不安: 65.9%
   頭痛: 52.0%
   めまい: 40.3 %
   不眠: 29.6 %
   胃腸の不調: 52.8%
   心臓周辺の不快感: 26.4%
  ◇臨床検査で様々な器官機能障害が見られた
   動脈圧の不安定: 70.3%
   肺の吸気機能障害: 53.5%
   心臓の機能変化: 40.0%
   胃の機能障害: 39.6%
   運動後の疲れやすさ: 31.5%
   免疫力低下:60~70%
   肝臓機能の一時障害:52.8%

 ② ヨーロッパ広域の低線量による疫学的な調査による健康損害例    (図の右1列は、アメリカの原発稼動と健康障害との相関性を表したもの)

(図引用)「内部被曝についての考察」琉球大学 矢ヶ崎克馬
     「長崎原爆体験者訴訟追加意見書]矢ヶ崎克馬

 ③ 「子どもの7 割以上が食品汚染で病気-ウクライナ調査報告」
   NPO法人食品と暮らしの安全基金サイト より引用
   (左)平成24年第5回「市民のためのがん治療の会」講演会の映像
        (右)放射線被ばくの本当の危険性 
           平成24年12月2日(日)ウクライナ調査報告(pdf)
 
(要点)
 ・ウクライナでは、
   ・低線量地区 0.12μSv/h程度 (=さいたま市レベル)にも関わらず、
   ・毎日の食事10Bqで健康被害がでている。
  食事に含まれる放射性セシウムが体内に50倍程度に濃縮され蓄積したものと考えられる。
 ・ウクライナの子どもたちの調査結果
  (a) ピシャニッツァ村学校
     足が痛い62%、頭痛47%、のどが痛い36%、痛みなし36%
  (b) モジャリ村学校
     足が痛い72%、頭痛81% のどが痛い59%、痛みなし16%
  (c) コヴァリン村学校
     足が痛い71%、頭痛21%、のどが痛い29%、痛みなし25%
 ・放射能による健康障害は、非汚染地域に60~70日の転地保養で一時的に痛みが治っていることから、
  やはり内部蓄積(子どもの場合体内半減期は38日)によるものであろう。
などなど、生々しく報告されているので一見されたい。


4.放射能被ばくによる健康損壊のリスク

4.1 放射線被ばくと健康損傷について

(1) 活性酸素は身体の細胞にダメージを与える
  Wikipedia 引用:活性酸素は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称である。
一般的にスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種類とされる。
活性酸素は、酸素分子が不対電子を捕獲することによってスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、という順に生成する。
スーパーオキシドは酸素分子から生成される最初の還元体であり、他の活性酸素の前駆体であり、生体にとって重要な役割を持つ一酸化窒素と反応してその作用を消滅させる。
活性酸素の中でもヒドロキシルラジカルはきわめて反応性が高いラジカルであり、活性酸素による多くの生体損傷はヒドロキシルラジカルによるものとされている。
過酸化水素の反応性はそれほど高くなく、生体温度では安定しているが金属イオンや光により容易に分解してヒドロキシルラジカルを生成する。
活性酸素は1 日に細胞あたり約10 億個発生し、これに対して生体の活性酸素消去機能が働くものの活性酸素は細胞内のDNAを損傷し,平常の生活でもDNA 損傷の数は細胞あたり一日数万から数10 万個になるがこのDNA 損傷はすぐに修復される
 ・生体へのさまざまなストレスによっても活性酸素が発生する
 ・放射線による人体細胞への損傷には直接損傷と間接損傷がある
  (直接損傷)放射線の直接の電離作用によりタンパク質やDNAの分子を切断すること
  (関節損傷)放射線によって水分子が電離した活性酸素が分子を切断すること

 ・放射線は、DNAを直撃して分子を切断することが最も怖いが、活性酸素活性力の強いヒドロキシルラジカルを誘発することである。

(2) 活性酸素によるダメージに対する生体防御機構について
  活性酸素は、タンパク質を酸化したり、脂質を酸化したり、遺伝子を損傷する。
  ・抗酸化物質は、活性酸素を直接消去(還元)する
  ・抗酸化酵素は、活性酸素でダメージを受けたタンパク質などを修復したり分解することで
   悪影響を取り除いてくれる
  ・遺伝子の損傷に対しては、損傷の状態に応じて様々な修復機能が働いてくれるが、
   遺伝子の2本鎖(ペア)が同時に損傷した場合は、それでも復元を試みようとするが、
   復元のすべてが成功するとはかぎらない。
     ・復元した形が悪ければアポトーシス(自爆機能)が働いて細胞は死滅し分解消滅する
  ・しかし、遺伝子が修復できない可能性もあり、遺伝子変異として生き残る。
   これが、ガン細胞になったり、臓器・器官内で増殖して機能変質・低下に繋がったり、
   もともと遺伝子に隠されていた不安定さが顕在化する場合もある。
   ガン細胞に対しては、免疫細胞が働いてその増殖を抑えようとするが、がん細胞の増殖が勝ると発がんとなる。 

 以上の修復機能は、人が生きている限り発生する活性酸素や自然放射線(地中カラ、上空から、放射性カリウム等)
 のダメージに対応できるよう、地球誕生以来の生命体や人類進化の過程で築かれてきた生体防衛機能である。


 (3) 食物に含まれるセシウムが体内に高密度に蓄積し内部被ばくする
  ・全ても食物には放射能(安全?)基準があるが、いまやその基準値以内なら安全である、という風潮が
   まかり通ってきた感があるが、本当に安全なのであろうか?
  ・下図は、放射能が僅かでも含まれる食物を毎日摂取した時の放射性セシウムの蓄積量と
   そのセシウムから発せられる放射線の線量を試算してみたものである。
   試算の条件は、
     ・30歳以上の女性の平均的な食事(構成)
     ・全ての食物のセシウム含有量は基準値の10%だと仮定した
  ・試算の結果は、
     ・毎日の食事で摂取されるセシウムは14.15Bq/kg
     ・それが体内に蓄積される総量は2.023Bq/kg
     ・そのセシウムによる放射線は全身に被ばくする線量は1.10μSv(9.6mSv/年)となる。

  ・この計算式に使われたSv/Bq変換係数は、ICRPの外部被ばく「γ線」のものなのである。
  ・なお、内部被ばくでは、γ線のまえにエネルギーの大きいβ線が発射されるものなので、
   体内(健康)が受けるダメージは遥かに大きいものになる(詳しくは4.2項にて)。

  ・今や、100Bq以下なら堂々と店頭に並び、国や行政は安全であるとは言っているが・・・不安は残る。
   「検出不能」(検出限界値以下)と言われると全く汚染されていない食材だと信じさせられてしまうが、
   しかし、2013年時の農産物の放射能検査の各県の検出限界値は、
    福島県が25Bq/kg、埼玉県が10Bq/kgなのである。
    つまり、安心できる食材と思って毎日摂ることにでもなれば、上記例のように体内蓄積され、
    知らず知らずのうちに内部被ばくによる健康損害で進んでいく可能性もある。

 (4) 内部被ばくによる健康損害のメカニズムについて
  ・日本政府や原発擁護・推進学者たちは、放射線被ばくは内部被ばくであろうが外部被ばくであろうが、
   「同じ線量値なら健康損害に差はない」として、内部被ばくによる健康問題の議論を避けてきた。
  ・しかし、内部被ばくは外部被ばくとは根本的に異なるものである、
     ・外部被ばくは、γ線による被ばくである(全身被ばくの物理面からの見解)
     ・内部被ばくは、体内細胞に入り込んだ放射能物質から発す放射線α線・β線・γ線による
      細胞損害=健康損害のことである(生物学・医学・保健学な見解)

  ・フクシマの汚染放射能の大半は放射線セシウムによるものなので、放射線はβ線とγ線である
  ・外部被ばくはγ線が主であり、全身を透過する途中で疎らに細胞内分子を電離(損壊)する
  ・内部被ばくは、体内に付着・蓄積した放射能による被ばくなので、β線とγ線の両方である。
   内部被ばくで深刻なのはβ線であり、そのエネルギー全てを飛程距離2mm内で使い切る、
   つまり(細胞サイズ10μmとすると)連続する200個ほどを局所集中的に原子を電離(分子切断)する、
   DNAであれば遺伝子は切断され、生体に備わっている遺伝子修復能力が及ばない場合は、
   遺伝子異変(誤った増殖・子孫)、不安定遺伝子の錯乱、がん化の原因となる。

(参考)
  ・セシウムはカリと似た化学性を持つので細胞内に取りこまれるが、Na-KポンプとKチャネルの
   KとCsの通過割合が異なるのでCSの方が一定量多く溜まっていく。
  ・放射線種で飛程は異なる(更にエネルギーの大きさによっても飛程は異なる)
     ・α線 空中で4cm程度、生体内で20μm程度
     ・β線 空中で2m程度 、生体内で2mm程度
     ・γ線 空中では数100m程度 、生体内では数cm~突き抜ける


4.2 内部被ばく・低線量被ばくによる細胞レベルの損傷リスクを試算

 (1) ICRP側には、「内部被ばく」と「内部蓄積」については論議を避けてきた この理由は、
 
   ① 内部被ばくによる健康損傷リスクのメカニズムが明らかになると、ICRPのリスクモデルの決定プロセスや
     非科学性が問われ、原発行政や核開発の推進にブレーキがかかるばかりか、
     健康損害の賠償・補償の問題が世界的に湧き起こることになる。
   ② ICRPの内部被ばくについての見解
    ICRPは、「同じ線量なら外部被ばくも内部被ばくも健康リスクは同じである」と説明しているが、とんでもない!
     ・外部被ばくはγ線により全身疎らに損傷を与えるので、健康リスクは軽いものだが、
     ・内部被ばくは、α線やβ線によって局所集中的に損傷を与えるのでγ線に比べて遥かに深刻だからだ。
   ③ 体内蓄積については、毎日の僅かでも放射能が含まれている食事で体内へ数十倍以上にも
    濃縮されるので、内部被ばくや低線量被ばくの問題に注目されるのが避けたいのであろう。

 (2)そこで私(高橋GO)は、同量の放射能Bqによる外部被ばくと内部被ばくの細胞に与える損傷リスクを試算してみた。
  (前提とする条件)
   ◆放射能核種はCs137のみとした。
    Cs137は、β崩壊でβ線を放出し、その直後にγ線を放出する。
   ◆外部被ばくについては、
    β線は透過力が弱いので土やコンクリートなどの障害物や空気中でほとんど消滅し、
    人体にはγ線だけが到達し、体内でエネルギーを使い切るか、一部は突き抜ける。
    試算では、このγ線のエネルギーの全てが原子を電離する(透過量ゼロ)と仮定した。
      ・γ線は本来なら、物質との相互作用でコンプトン散乱(低エネルギーγ線+光電効果)
       ⇒光電効果⇒オージエ電子へとエネルギー使いながら消えていくるものだが、
       試算では、全てγ線のままで全エネルギーを電離によって失っていくものと仮定した。
   ◆内部被ばくについては、
    Cs137が食事によって口から摂りこまれ、胃液で100%イオン化されてすべて腸から吸収され、
    全身の細胞にカリウムに混じって細胞内に溜り、タイミングを待ってβ崩壊(β線を放出)する。
    β線の体内での飛程は2mmとし、大きさ10μmの細胞200個を連続して串刺しにするとした。
    なお、γ線も放出するが、これは外部被ばくの試算結果とほぼ同じ値になる。
   ◆つまり、内部被ばくは外部被ばくに比べて「β線の分だけ損傷リスクが大きい」ことになる。
   ◆試算では、たった1個のCsの崩壊による細胞損傷リスク (細胞1個あたりの電離原子数)を求めた。
    




 (3) 健康リスク不安は更に続く

  ① 損傷を受ける細胞の数は膨大である
   ・上記試算は、たった1本のβ線で分子272.8カ所が損傷する細胞が連続200個あるってことである。
   ・1Bqとは1秒間に1回崩壊する量のことなので、丸1日なら、60secx60minx24hour=86,400崩壊となり、
    損傷する細胞の総数は(x200個なので)、なんと1,728万個にもなる。
    (細胞分裂の所要時間は1日なので、細胞分裂の最中に損傷を受けた場合は正常修復は難かしい)
   ・これはセシウムβ崩壊のたった1Bq量での出来事だから、
    食品基準値10%(ほぼ検出限界値)を毎日摂り続けたときの
    体内蓄積量は約2000Bqとなるので、
    損傷を受ける細胞総数は全身で345億6千万個/日にもなる
   ・なら、1年間では、x365なので・・・ 目が眩んできた、計算はヤメときましょう・・・

  ② β線による細胞損傷リスクは、飛程が短いが故に損傷が局所に集中することである、
   遺伝子はかなり長い分子構造なので、β線が当たった原子の電離作用で分子はズタズタになり得ることである、
   (γ線なら1カ所の切断程度の切断だから正常に修復されるだろう)
   もし、細胞分裂期や修復をコントロールする遺伝子個所等が損傷して変性するなら、
   以後の分裂細胞は正常に働かない可能性が高くなる(ゲノム不安定性)

 次項(4)は、医学的研究によって明らかにされた部位ごとの損傷メカニズムである。

 (4) チェルノブイリ事故の医学的影響に関する研究調査の概要
  このサイトはぜひクリックして覗いて欲しい。 「チェリノブイリの長い影」からの 引用:・この章では、人体の臓器と系に分けて説明している。
   ・免疫系
   ・妊娠女性-胎児-子供間の関係
   ・細胞遺伝学的影響および突然変異
   ・甲状腺
   ・中枢神経系および精神発達
   ・特定の代謝異常に特有の特徴
   ・骨系
   ・検査は3グループの子どもに実施された
・チェルノブイリ災害の放射線学的影響に関して、諸国家の科学者が実施した科学研究調査の結果を
 いくつかまとめている。
・ここに引用した試験結果は、莫大な数の研究調査結果のごく一部であり、
 このなかには政治的または個人的な理由で機密となっていたか、隠ぺいされていたものもある。
・ここにまとめられたデータの信頼性は、科学者らの議論により徹底的に検討されてきたものであり、
 実際に疑う余地のないものであることが明らかにされている。

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以上が「国民に知られたくない内部被ばくの真実/細胞損傷リスクを試算」として調査に考察を加えたものであるが、専門外の私のことであり、事実と異なることや誤った考察もあり得るので、ぜひ忌憚のないご意見をお聞かせ願いたい。


なお、私の狙いは、日本政府の人権軽視に近い放射能汚染への対応の問題点を指摘したり、健康に重大な損害を与える内部被ばくの深刻さをまとめただけで終わるものではない。
私は常に自他に対して「で、どうするの?!」と問いかけ、政府や行政に任せるのではなく、普通の生活者自身でもできる解決策を探そうとしてきたが、別途「放射能汚染時代」の解決策についてまとめて提案していきたい。
 ・宅地や農地の放射能汚染を低減する方法
 ・放射能の食料への移行を抑制する方法
 ・内部被ばくの健康リスクを軽減する方法
などについて、近日中にUPしてまいります。
 

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